マラソンは、長い距離を走り切るために持久力が必要なスポーツですが、それだけではなく、スピードも重要な要素です。
スピードを上げることで、タイムを短縮することができますし、走りの楽しさも増します。
しかし、スピード練習はどのように行えば良いのでしょうか?また、ランニング初心者でもできるスピード練習はあるのでしょうか?
この記事では、マラソンのスピード練習の効果や方法、初心者でも取り組めるコツを紹介します。
マラソンのスピード練習の効果とは?
マラソンのスピードトレーニングには、以下のような効果があります。
- 心肺機能の向上:スピードトレーニングは高強度の走行を含むため、心肺系に負荷をかけます。これにより、心肺機能が向上し、酸素の取り込みが効率的になります。これは持久力や回復力にも影響します。
- 筋力の増強:スピードトレーニングでは、速く走るために強力な足蹴りが必要です。このため、脚や臀部などの筋肉が刺激され、筋力が向上します。また、速筋として知られる筋肉もトレーニングされます。速筋は高速運動時に活動し、乳酸をエネルギーに変換する能力が高いです。
- ペース感覚の向上:スピードトレーニングでは、自身のペースを管理する能力が必要です。一定のペースで走ったり、ペースを変更したりすることで、ペース感覚が向上します。これはレースで最適なパフォーマンスを発揮するために不可欠です。
マラソンのスピード練習の方法とは?
マラソンのスピード練習には、さまざまな種類が存在しますが、ここでは代表的な4つの方法を紹介します。
インターバル走
インターバル走は、速いペースで走る区間とゆっくりペースで走る区間を交互に繰り返すトレーニング方法です2。速いペースで走る区間では心拍数を上げ、無酸素運動に近い状態を体験しますが、ゆっくりペースで走る区間では心拍数を下げ、有酸素運動に近い状態を作り出します。このハイブリッドなアプローチにより、心肺機能やスピード持久力を向上させます。
具体的なインターバル走の方法は以下の通りです:
- まず、ウォーミングアップとして10分ほどジョギングを行います。
- 次に、速いペースで走る区間とゆっくりペースで走る区間の距離や時間を設定します。たとえば、1kmを4分で走り、その後2分間ジョギングするなどのセットを行います。
- 何セット繰り返すかは、自身のレベルに合わせて決めます。初心者は3回から5回が適していますが、上級者は10回以上も可能です。
- セットを終えたら、10分ほどのジョギングでクールダウンを行います。
インターバル走の要点は、速いペースで自身の限界に挑戦することですが、無理をせずに体調とレベルに合わせて調整することも重要です。また、ゆっくりペースの区間でもジョギングを止めずに続けることが心拍数の調整に役立ちます。
ペース走
ペース走は、目標タイムに合わせた一定のペースで特定の距離を走るトレーニング方法です3。たとえば、4時間のマラソンを目指す場合、1kmあたり5分40秒のペースで走ります。この方法では、目標タイムに近いペースを維持しながら長距離を走ることで、スピード持久力やペース感覚を養います。
具体的なペース走の方法は以下の通りです:
- まず、ウォーミングアップとして10分ほどジョギングを行います。
- 次に、目標タイムに合わせたペースで特定の距離を走ります。距離は自身の能力と目標に応じて設定します。初心者は5kmから10kmが適していますが、上級者は20km以上も可能です。
- 走り終えたら、10分ほどのジョギングでクールダウンを行います。
ペース走の要点は、目標タイムに合わせたペースを一定に保つことです。時計やGPSを活用してペースを計測し、目標に向かって走行するのが助けになります。また、ペース走は高強度のトレーニングなので、週に1回程度の頻度で行うことをお勧めします。
ファルトレク
ファルトレクは、不整地や坂道などの自然の地形を利用してスピードに変化をつけながら走るトレーニング方法です。この方法では、予測不可能な状況でのペース変更や反応力、判断力の向上に寄与します。また、心肺機能や筋力も鍛えられます。
具体的なファルトレクの方法は以下の通りです:
- まず、ウォーミングアップとして10分ほどジョギングを行います。
- 次に、自然の地形を利用して走ります。林道や公園、田畑などが適しています。地形に合わせてペースを変更し、上り坂では速く、下り坂ではゆっくり走るなどの工夫ができます。また、木や岩などの障害物を使ったジャンプやスラロームも可能です。
- 走行距離や時間は、レベルや目的に合わせて決定します。初心者は20分から30分が適していますが、上級者は1時間以上を考慮することもあります。
- ファルトレクを終えたら、10分ほどのジョギングでクールダウンを行います。
ファルトレクの魅力は、自然の地形で楽しみながらトレーニングできることです。安全性とアクセス性に留意し、適切なコース選びを行うことが大切です。また、不整地や坂道では体の負担が高まるため、適切なシューズやサポーターの使用が重要です。
テンポ走
テンポ走は、最大酸素摂取量(VO2max)の85%から90%に相当するペースで一定の距離を走るトレーニング方法です。この方法では、高い強度で長時間走行し、乳酸閾値(LT)を上げる効果があります。LTが高いほど、スピード持久力が向上すると言われています。
具体的なテンポ走の方法は以下の通りです:
- まず、ウォーミングアップとして10分ほどジョギングを行います。
- 次に、VO2maxの85%から90%に相当するペースで特定の距離を走行します。ペースは自身の感覚で管理するか、心拍数計などの機器を使用して計測できます。通常、「話せるけど歌えない」程度の呼吸が目安です。
- 走行距離は、自身のレベルや目的に合わせて設定します。初心者は3kmから5km程度が適していますが、上級者は10km以上を考慮することもあります。
- 走行終了後、10分ほどのジョギングでクールダウンを行います。
テンポ走の要点は、VO2maxの85%から90%に相当するペースを一定に保つことです。ペースを正確に管理するために、時計やGPSなどのツールを活用すると良いでしょう。また、テンポ走は高い強度のトレーニングであるため、週に1回の頻度で行うことが適しています。
まとめ
マラソンのスピード練習には、心肺機能や筋力やペース感覚を向上させる効果があります。スピード練習の方法として、インターバル走やペース走やファルトレクやテンポ走があります。それぞれの方法の特徴やポイントを紹介しました。スピード練習は強度が高いので、週に1回程度行うようにしましょう。また、自分の体調やレベルに合わせて無理のないペースで行いましょう。