マラソンは、42.195kmという長距離を走るスポーツです。そのため、体重や体脂肪率などの体型によって、パフォーマンスや健康に影響が出ることがあります。
では、マラソンランナーにとって、理想的な体重や体脂肪率はどれくらいなのでしょうか?また、体重を落とすことでタイムは伸びるのでしょうか?
この記事では、マラソンにおける適正体重や体脂肪率の目安や計算方法、減量の効果や注意点などを紹介します。
マラソンにおける適正体重の目安
一般的に、適正体重はBMI(Body Mass Index)という指標で判断されます。BMIは、身長と体重のバランスから痩せ型か肥満かを判定するための数値で、「体重kg÷(身長m×身長m)」という計算式で求めることができます。
例えば、身長170cmで体重65kgの人の場合、BMIは65kg÷(1.7m×1.7m)=22.49となります。
日本肥満学会の基準によると、BMIの値が18.5以上25未満の場合は「普通体重」、18.5未満は「低体重」、25以上は「肥満」ということになっています。
また、BMIが22のときが最も病気になりにくいとされています。したがって、基本的にBMIが18.5~25の値に収まる体重が、理想的な体重と言えます。
しかし、マラソンランナーの場合は、一般的な基準よりもやや低めのBMIを目指すことが望ましいと言われています。
それはなぜかというと、マラソンでは長時間走り続けることから、足への負担を減らすために体を軽くすることが大切だからです。
実際に、トップランナーやサブ3(3時間以内)ランナーの多くはBMIが18~20前後の低体重から普通体重の範囲に収まっています。
もちろん、あまりにも低すぎるBMIは健康面で問題がありますし、個人差もありますので、自分に合った適正なBMIを見つけることが大切です。
体重を落とすことでタイムは伸びるのか?
マラソンでは、体重や体脂肪率が低いほうが有利と言われていますが、それは本当なのでしょうか?実際に、体重を落とすことでタイムは伸びるのでしょうか?
答えはイエスです。マラソン界では「1kg=3分」という法則があります。これは、体重を1kg減らすことでフルマラソンのタイムが約3分縮まるということを意味します。
これは福岡大学スポーツ科学部の田中宏暁教授が提唱したもので、「賢く走るフルマラソン」という本に記載されています。
この法則が成り立つ理由は、マラソンでは走行抵抗やエネルギー消費量などが体重に比例するからです。
つまり、体重が減れば走りやすくなり、タイムも速くなるということです。もちろん、これはあくまでも目安であり、個人差やコンディションなどによって変わりますが、一般的には体重を落とすことでタイムアップが期待できます。
体重を落とす方法や注意点
では、マラソンランナーはどのようにして適正な体重や体脂肪率を目指すべきなのでしょうか?また、どのような注意点があるのでしょうか?ここでは、マラソンランナーにおすすめの減量方法や注意点を紹介します。
有酸素運動で脂肪を燃焼させる
マラソンランナーにおすすめの減量方法の一つが有酸素運動です。有酸素運動とは、酸素を使ってエネルギーを作り出す運動のことで、ランニングやサイクリングなどが代表的です。
有酸素運動では、脂肪が主なエネルギー源として使われますので、脂肪を効率的に燃焼させることができます。
有酸素運動を行う際のポイントは以下の通りです。
- 運動強度は中程度(心拍数は最大心拍数の60~70%)にする
- 運動時間は30分以上(できれば1時間以上)続ける
- 運動頻度は週3回以上(できれば毎日)行う
- 運動前後に水分補給をする
- 運動後にプロテインなどのタンパク質を摂取する
これらのポイントを守ることで、有酸素運動で効果的に脂肪を燃焼させることができます。
筋トレで筋肉量を増やす
マラソンランナーにおすすめの減量方法のもう一つが筋トレです。筋トレとは、筋肉を鍛えるための運動のことで、ウエイトリフティングや腕立て伏せなどが代表的です。
筋トレでは、筋肉が主なエネルギー源として使われますので、筋肉量を増やすことができます。
筋肉量が増えると、基礎代謝が上がります。基礎代謝とは、安静時に消費されるエネルギーのことで、筋肉量が多いほど高くなります。
基礎代謝が高いと、運動しなくても消費カロリーが多くなりますので、体重や体脂肪率をコントロールしやすくなります。
筋トレを行う際のポイントは以下の通りです。
- 運動強度は高め(心拍数は最大心拍数の80~90%)にする
- 運動時間は15分以上(できれば30分以上)続ける
- 運動頻度は週2回以上(できれば週3回以上)行う
- 運動前後に水分補給をする
- 運動後にプロテインなどのタンパク質を摂取する
これらのポイントを守ることで、筋トレで効果的に筋肉量を増やすことができます。
バランスの良い食事を摂る
マラソンランナーにおすすめの減量方法の最後は、バランスの良い食事を摂ることです。食事は、エネルギー源や栄養素の供給に欠かせません。
食事を制限しすぎると、エネルギー不足や栄養不足になりますし、食事を過剰に摂ると、エネルギー過剰や栄養過剰になります。どちらもマラソンのパフォーマンスや健康に悪影響を及ぼします。
バランスの良い食事を摂るためには、以下のようなポイントを意識してください。
- 一日三食しっかりと食べる
- 一食あたりのカロリーは男性で600~800kcal、女性で500~700kcal程度にする
- 一食あたりの栄養バランスは炭水化物:タンパク質:脂質=5:3:2程度にする
- 野菜や果物などのビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取する
- 揚げ物やスナック菓子などの油分や塩分が多い食品は控える
- アルコールや砂糖入りの飲料は控える
これらのポイントを守ることで、バランスの良い食事で効果的に体重や体脂肪率をコントロールすることができます。
まとめ
この記事では、マラソンにおける適正体重や体脂肪率の目安や計算方法、減量の効果や注意点などを紹介しました。
マラソンランナーは、自分に合った適正な体重や体脂肪率を目指すことが大切です。そのためには、有酸素運動や筋トレでエネルギー消費と筋肉量を増やし、バランスの良い食事でエネルギー摂取と栄養素をコントロールすることが必要です。
これらの方法を実践することで、体重や体脂肪率を適切に管理し、マラソンのパフォーマンスや健康を向上させることができます。