適正体重とは、身長や体型に合った理想的な体重のことです。適正体重を保つことで、健康やパフォーマンスに良い影響を与えます。
では、どうやって自分の適正体重を計算するのでしょうか?そして、適正体重に近づくためにはどんな目標設定が必要なのでしょうか?
今回は、その方法とコツをご紹介します。
適正体重の計算方法とその根拠
適正体重とは、身長や体型に合った理想的な体重のことです。適正体重を保つことで、健康やパフォーマンスに良い影響を与えます。では、どうやって自分の適正体重を計算するのでしょうか?
ここでは、最も一般的なものとして、BMI(ボディマス指数)を使った方法を紹介します。BMIとは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値です。BMIは、肥満度や病気のリスクを判断する指標としてよく使われます。
一般的に、BMIが18.5未満だと低体重、18.5以上25未満だと普通体重、25以上30未満だと肥満(1度)、30以上だと**肥満(2度以上)**と分類されます。
しかし、BMIはあくまで目安であり、個人差や筋肉量などによって変わります。特にマラソンランナーは筋肉量が多い場合がありますので、BMIだけで判断するのは適切ではありません。
そこで、マラソンランナーにおすすめなのが、理想的なBMIを求める方法です。理想的なBMIとは、自分の身長に対して最も速く走れる体重を示す指標です。理想的なBMIは、以下の公式で求めることができます。
理想的なBMI = 21 + (年齢 – 20) × 0.06
この公式は、世界的に有名なマラソンコーチであるジャック・ダニエルズ博士が提唱したものです。ダニエルズ博士は、世界中のトップランナーのデータを分析し、年齢や性別に関係なく、この公式で求められるBMIが最も速く走れることを発見しました。
この公式は、年齢が上がるにつれて理想的なBMIが少しずつ増えることを示しています。これは、年齢とともに筋肉量や基礎代謝が減少するため、少し太めの方がエネルギー効率が良くなるからだと考えられます。
例えば、30歳の男性で身長が170cmだとすると、
理想的なBMI = 21 + (30 – 20) × 0.06 = 21 + 0.6 = 21.6
となります。この値を使って、理想的な体重を求めるには、
理想的な体重 = 理想的なBMI × 身長(m)の二乗
という公式を使います。先ほどの例では、
理想的な体重 = 21.6 × 1.7 × 1.7 = 62.5kg
ということになります。つまり、この男性は62.5kgが最も速く走れる体重だということです。
適正体重に近づくための食事やトレーニングのポイント
適正体重になるためには、単に体重を減らすだけでは不十分です。適切な方法で減量することが大切です。
以下に、適正体重に近づくための食事やトレーニングのポイントをいくつか紹介します。
食事はバランスよく
適正体重になるためには、食事も重要です。カロリー摂取量を減らすだけではなく、栄養素のバランスも考えましょう。
特にマラソンランナーは、エネルギー源となる炭水化物や筋肉の修復や増強に必要なタンパク質、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を十分に摂取する必要があります。
食事は、野菜や果物、穀物、肉や魚、乳製品などの食品群をバランスよく摂るようにしましょう。また、水分補給も忘れずに行いましょう。
炭水化物は質と量を見極める
炭水化物は、マラソンランナーにとって最も重要なエネルギー源です。炭水化物は、体内でグリコーゲンという形で筋肉や肝臓に貯蔵されます。グリコーゲンは、長時間の走行中に消費される主要な燃料です。
しかし、炭水化物はすべて同じではありません。炭水化物には、単糖類(ブドウ糖や果糖など)、二糖類(乳糖や蜂蜜など)、多糖類(でんぷんやセルロースなど)という3種類があります。これらの炭水化物は、消化吸収の速さや血糖値への影響が異なります。
一般的に、単糖類や二糖類は消化吸収が速く、血糖値を急激に上昇させます。これらの炭水化物は、**高GI(グリセミック指数)**と呼ばれます。高GIの食品は、走行中や走行直後に摂取することで、エネルギー補給やグリコーゲン回復に役立ちます。
しかし、高GIの食品を摂りすぎると、血糖値が急降下し、空腹感やイライラ感を引き起こすことがあります。また、高GIの食品は脂肪に変わりやすいため、体重管理にも注意が必要です。
一方、多糖類は消化吸収が遅く、血糖値をゆるやかに上昇させます。これらの炭水化物は、低GIと呼ばれます。
低GIの食品は、走行前や走行間隔に摂取することで、持続的なエネルギー供給や血糖値の安定に役立ちます。低GIの食品は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素も豊富に含んでいます。低GIの食品は、満腹感を持続させることで、食欲を抑える効果もあります。
マラソンランナーは、高GIと低GIの炭水化物を適切に組み合わせて摂取することがおすすめです。高GIの食品は、走行中や走行直後に10~20g程度、低GIの食品は、走行前や走行間隔に30~60g程度を目安にしましょう。また、1日の総カロリーの50~60%を炭水化物から摂取することが理想的です。
タンパク質は筋肉の材料
タンパク質は、マラソンランナーにとっても重要な栄養素です。タンパク質は、筋肉や骨、皮膚などの体組織の構成要素です。
タンパク質は、走行中に筋肉が損傷したり疲労したりするのを防ぎ、回復や増強を促進します。
また、タンパク質はエネルギー源としても使われます。特にグリコーゲンが不足した場合には、タンパク質が分解されてエネルギーに変換されます。
タンパク質には、必須アミノ酸と非必須アミノ酸という2種類があります。必須アミノ酸は、体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。非必須アミノ酸は、体内で合成できるため、食事から摂取しなくても良いとされています。
しかし、マラソンランナーは非必須アミノ酸も十分に摂取することがおすすめです。非必須アミノ酸には、筋肉の合成や分解を調節する働きがあるためです。
タンパク質を摂取する際には、動物性タンパク質と植物性タンパク質という2種類があります。
動物性タンパク質とは、肉や魚、卵や乳製品などから摂取できるタンパク質です。動物性タンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるため、高品質なタンパク質と言われます。
植物性タンパク質とは、豆や穀物などから摂取できるタンパク質です。植物性タンパク質は、必須アミノ酸の一部を欠いているため、低品質なタンパク質と言われます。
しかし、植物性タンパク質は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素も豊富に含んでいます。また、植物性タンパク質同士を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスを改善することができます。
例えば、豆と穀物、豆とナッツ、穀物と乳製品などの組み合わせが効果的です。
マラソンランナーは、動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく摂取することがおすすめです。
動物性タンパク質は、筋肉の合成に必要な高品質なタンパク質を提供します。植物性タンパク質は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素を提供し、消化や排泄を促進します。
また、1日の総カロリーの15~20%をタンパク質から摂取することが理想的です。
ビタミンやミネラルは補助的に
ビタミンやミネラルは、マラソンランナーにとっても必要な栄養素です。ビタミンやミネラルは、エネルギー代謝や免疫機能、酸素運搬などの体の様々な働きに関与します。
ビタミンやミネラルは、体内で合成できないか、あるいは不足しがちなものが多いため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンやミネラルを摂取する際には、食事からまず摂ることが基本です。食事から摂ることで、自然な形でバランスよく摂取することができます。
特に野菜や果物は、ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維やポリフェノールなどの有用な成分も含んでいます。野菜や果物は、1日に5~7
(または皿)摂ることがおすすめです。野菜や果物の色や種類によって、含まれるビタミンやミネラルが異なりますので、できるだけ多様に摂るようにしましょう。
例えば、赤い野菜や果物には、ビタミンAやリコピンなどの抗酸化物質が多く含まれています。緑黄色野菜には、ビタミンCやカロテノイドなどの免疫力を高める成分が多く含まれています。
青紫色野菜や果物には、アントシアニンやポリフェノールなどの血管を強化する成分が多く含まれています。
ビタミンやミネラルを食事から十分に摂取できない場合や、特別な状況下にある場合には、サプリメントを補助的に利用することも考えられます。サプリメントは、ビタミンやミネラルを効率的に摂取することができます。
しかし、サプリメントはあくまで補助的なものであり、食事の代わりになるものではありません。サプリメントを摂取する際には、必要な量や種類を確認し、過剰摂取に注意しましょう。
また、サプリメントは医薬品ではありませんので、効果や安全性については十分に検証されていない場合があります。
サプリメントを利用する際には、信頼できるメーカーやブランドを選び、必要に応じて医師や栄養士などの専門家に相談しましょう。
トレーニングは効果的に
適正体重になるためには、トレーニングも欠かせません。トレーニングは、体脂肪を減らし、筋肉量を増やし、基礎代謝を高める効果があります。
トレーニングは、有酸素運動と無酸素運動の両方を行うことがおすすめです。有酸素運動とは、心拍数が上がり、呼吸が速くなるような運動のことです。
例えば、ジョギングやサイクリングなどがあります。無酸素運動とは、筋肉に負荷をかけるような運動のことです。
例えば、ウエイトトレーニングや腕立て伏せなどがあります。トレーニングは、週に3回以上行いましょう。
また、トレーニングの前後にはストレッチやウォーミングアップ・クールダウンを行いましょう。
有酸素運動は持久力とエネルギー消費を高める
有酸素運動は、マラソンランナーにとって最も基本的なトレーニングです。有酸素運動は、心肺機能を強化し、持久力を高めます。
また、有酸素運動はエネルギー消費量が高いため、体脂肪の減少にも効果的です。有酸素運動を行う際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 強度は適切に:有酸素運動の強度は、個人の体力や目的に合わせて調整しましょう。強度が低すぎると、効果が得られません。強度が高すぎると、疲労や怪我のリスクが高まります。強度を測る方法として、心拍数や**運動強度の主観的評価(RPE)**などがあります。心拍数は、運動中の心臓の拍動回数を示します。心拍数は、年齢や体力によって異なりますが、一般的には最大心拍数の60~80%が適切な強度とされます。最大心拍数は、220から年齢を引いた値で求めることができます。例えば、30歳の人の最大心拍数は、220 – 30 = 190となります。この人が適切な強度で有酸素運動を行う場合、心拍数は190 × 0.6 = 114から190 × 0.8 = 152の間になります。RPEは、自分の感じる運動の負荷を10段階で評価する方法です。RPEは、個人差がありますが、一般的には4~6が適切な強度とされます。4は「ややきつい」、5は「きつい」、6は「かなりきつい」という感覚です。
- 時間は十分に:有酸素運動の時間は、個人の体力や目的に合わせて調整しましょう。時間が短すぎると、効果が得られません。時間が長すぎると、疲労や怪我のリスクが高まります。時間を決める方法として、消費カロリーや走行距離などがあります。消費カロリーは、運動中に消費したエネルギー量を示します。消費カロリーは、体重や運動の種類や強度によって異なりますが、一般的には1時間あたり300~500kcalが目安です。走行距離は、運動中に走った距離を示します。走行距離は、個人の体力や目的によって異なりますが、一般的には1回あたり5~10kmが目安です。
- 頻度は週3回以上:有酸素運動の頻度は、個人の体力や目的に合わせて調整しましょう。頻度が低すぎると、効果が持続しません。頻度が高すぎると、疲労や怪我のリスクが高まります。頻度を決める方法として、週単位で計画することがおすすめです。週単位で計画することで、トレーニングと休息のバランスを取ることができます。一般的には週3回以上の有酸素運動を行うことが理想的です。また、同じ日に有酸素運動と無酸素運動を行う場合には、有酸素運動を先に行うことがおすすめです。有酸素運動を先に行うことで、無酸素運動の効果を高めることができます。有酸素運動は、血流や酸素供給を改善し、筋肉の温度や柔軟性を高めます。これにより、無酸素運動の際に筋肉の力や持久力を発揮しやすくなります。また、有酸素運動は、グリコーゲンを消費し、脂肪燃焼を促進します。これにより、無酸素運動の際に脂肪がエネルギー源として使われやすくなります。ただし、有酸素運動と無酸素運動の間には十分な休息時間を取ることが重要です。休息時間は個人差がありますが、一般的には30分~1時間が目安です。
無酸素運動は筋肉量と基礎代謝を高める
無酸素運動は、マラソンランナーにとっても有効なトレーニングです。無酸素運動は、筋肉に負荷をかけることで、筋肉量や筋力を増やします。筋肉量や筋力が増えることで、走行中の姿勢やフォームが安定し、走りやすくなります。
また、筋肉量や筋力が増えることで、基礎代謝も高まります。基礎代謝とは、安静時に消費するエネルギー量のことです。基礎代謝が高まることで、体脂肪の減少や体重管理にも効果的です。
無酸素運動を行う際には、以下のポイントに注意しましょう。
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- 部位は全身的に:無酸素運動の部位は、全身的に行うことがおすすめです。部位ごとに偏らせると、筋バランスが崩れたり、怪我のリスクが高まったりする可能性があります。部位ごとにトレーニングする場合には、上半身(胸や背中、腕など)、下半身(足やお尻など)、コア(腹筋や背筋など)の3つのグループに分けて行いましょう。各グループごとに2~3種類のトレーニングを行いましょう。例えば、上半身ではベンチプレスやラットプルダウン、ダンベルカールなどがあります。下半身ではスクワットやレッグプレス、レッグカールなどがあります。コアではクランチやバックエクステンション、プランクなどがあります。
- 回数は8~12回:無酸素運動の回数は、個人の体力や目的に合わせて調整しましょう。回数が少なすぎると、効果が得られません。回数が多すぎると、疲労や怪我のリスクが高まります。回数を決める方法として、筋肉の疲労度や筋肉の増強目的などがあります。筋肉の疲労度とは、トレーニング中に感じる筋肉の痛みや重さのことです。筋肉の疲労度は、個人差がありますが、一般的には最後の1~2回が辛くなるくらいが適切な回数とされます。筋肉の増強目的とは、筋肉量や筋力を増やすことを目的とするかどうかのことです。筋肉の増強目的でトレーニングする場合には、8~12回がおすすめです。8~12回は、筋肉に最も負荷をかけることができる回数だと言われています。
- セット数は3~5セット:無酸素運動のセット数は、個人の体力や目的に合わせて調整しましょう。セット数が少なすぎると、効果が得られません。セット数が多すぎると、疲労や怪我のリスクが高まります。セット数を決める方法として、トレーニング時間やトレーニング頻度などがあります。トレーニング時間とは、1回のトレーニングにかける時間のことです。トレーニング時間は、個人差がありますが、一般的には30分~1時間が目安です。トレーニング時間内に行えるセット数を決めましょう。トレーニング頻度とは、週に何回トレーニングするかのことです。トレーニング頻度は、個人差がありますが、一般的には週2~3回が目安です。トレーニング頻度に応じて行えるセット数を決めましょう。
まとめ
マラソンをするには、適正体重が重要です。適正体重とは、身長や体型に合った理想的な体重のことです。
適正体重を求める方法として、BMI(ボディマス指数)を使った方法があります。BMIは、体重を身長の二乗で割った値です。マラソンランナーにおすすめなのは、理想的なBMIを求める方法です。
理想的なBMIは、21 + (年齢 – 20) × 0.06で求めることができます。この値を使って、理想的な体重を求めることができます。
適正体重に近づくためには、食事やトレーニングも大切です。食事では、炭水化物やタンパク質、ビタミンやミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取しましょう。
炭水化物は、高GIと低GIのものを適切に組み合わせて摂取しましょう。タンパク質は、動物性と植物性のものをバランスよく摂取しましょう。
ビタミンやミネラルは、食事からまず摂り、必要に応じてサプリメントを補助的に利用しましょう。
トレーニングでは、有酸素運動と無酸素運動の両方を行いましょう。有酸素運動は、強度や時間や頻度を適切に調整しましょう。無酸素運動は、部位や回数やセット数を適切に調整しましょう。